手順に入る前に置いておきたいことがあります。ここを飛ばさないでください。
一つめ。目標を持たないこと。 「深いオーガズムに達する」「エネルギーを上昇させる」という目的を立てた瞬間、これは達成すべき課題になります。そして達成しようとする意識こそが、いちばんの妨げになります。矛盾しているようですが、伝統がそろって指摘してきたことです。
二つめ。痛みや強い不快があれば、すぐにやめること。 身体は嘘をつきません。「もう少し我慢すれば」は、この領域では役に立ちません。やめて、日を改める。それだけです。
三つめ。傷がある場合は、順番を変えること。 性にまつわる出来事で辛い記憶がある方は、感覚を開くワークから始めないでください。不安、涙、理由のわからない怒りが出てくることがあります。それは失敗ではなく、順番の問題です。まず安全だと感じられる土台をつくる。必要なら、専門家と一緒に。
その上で、始めます。
最初にやることは、たったこれだけです。 快感が強まったとき、息を止めていないかを観察する。
人は興奮すると息を詰めます。無意識に、ほぼ全員が。そして息を止めた瞬間、身体は放出へ向かって加速します。
やり方は単純です。
一度で変化を感じられなくて構いません。「あ、いま止めていた」と気づけたら、その回は成功です。気づくことが練習の中身です。
次は、性的でない状態から始めます。ここが大事です。
横になるか、楽な姿勢で座ります。十分から十五分ほど。
やってみると、多くの人が驚きます。身体には、感覚の濃い場所と、抜け落ちている場所がある。 そして抜け落ちている場所は、しばしば人生の出来事と対応しています。
これは瞑想の身体走査(ボディスキャン)と同じ手順です。特別なことは何もありません。ただ、この地図がないまま先へ進むと、快感の強い一点だけに意識が集中し、それ以外が動かないまま終わります。
一週間、これだけをやってもいいくらいです。
ここから、性的な感覚を扱います。ひとりで行います。
これまでの習慣は、おそらく「上がって、放出して、終わる」という一直線でしょう。それを、上がって、戻って、また上がるという波に変えます。
止めるたびに、息を吐いてください。手順一がここで効いてきます。
やってみるとわかりますが、波を重ねるごとに、感覚の質が変わります。 局所的で鋭いものから、もっと広く、鈍く、長いものへ。この変化が起きたら、それが次の段階の入口です。
「我慢する」のとは違います。歯を食いしばって耐えるのではなく、興味を持って観察しながら、手前で留まる。苦行になっていたら、それは間違った方向です。
最後は、集まった感覚を一点に留めずに広げる練習です。
「想像する」で構いません。何かを本当に動かそうとしなくていい。 注意を向ける先を変えるだけで、感覚の分布は実際に変わります。それは特別な能力ではなく、誰にでも起きることです。
伝統がクンダリーニやエネルギーの上昇と呼んできたものに、この練習は連なっています。ただし、そう呼ぶかどうかは重要ではありません。 名前を先に覚えると、体験を名前に合わせて歪めてしまいます。まず、起きることを起きるままに見る。
正直に書きます。手順一だけでも、身につくのに数週間かかります。
一回で劇的な体験が起きることを期待していると、まず失望します。そして失望すると続きません。
伝統がこれらを何年もかけて教えたのは、勿体ぶっていたからではなく、そのくらいの時間が実際に必要だからだと思います。
目安として。
急がないことが、いちばんの近道です。
これは治療ではありません。性交痛、出血、極端な性欲の変化、抑うつには身体的・医学的な原因があることがあります。そうした症状があるときは、婦人科や心療内科を先に訪ねてください。
そして、ここに書いたことができなくても、何の問題もありません。入口は、ほかにもたくさんあります。